笹島貴明選手 #5

名前の入ったメタルジャケットを初めて着た笹島選手
名前の入ったメタルジャケットを初めて着た笹島選手

慶應大学の先輩である笹島貴明選手の活動を追う連載の第5回。私たちは、53日から6日にかけて京都で行われた合宿を取材した。協会から強化選手に選ばれ、日の丸を背負う一人となった笹島選手。早速、翌週の10日にはオランダワールドカップが控える。笹島選手にとっては初めての国際大会。今回は、競技者として新たなステージに立った笹島選手の今、そしてこれからについて話を聞いた。

 

私たちの合宿所取材最終日となった55日、道場には“JPN”の文字が入ったジャケットを着た笹島選手がいた。「この前届いたばかりで、今日初めて袖を通しました」と話す表情には、嬉しさと照れくささが混じっていた。強化選手となり、既に世界を舞台に戦う櫻井杏理選手や加納慎太郎選手と共に汗を流し、パラリンピック金メダリストのキィコーチにレッスンを受ける毎日。「けが(脊髄の損傷)をしてから丁度3年になりますが、自分のこんな姿は想像もしていませんでした」と語った。それでも、フルーレに加えサーブルの練習を始め、また競技と仕事が両立できるよう自ら勤務先(株式会社インターネットイニシアティブ)と交渉し、練習も勤務時間扱いとする契約を新たに結んだ笹島選手。その姿は、着実にアスリートとしての階段を上っているように見えた。

 

午前はキィコーチとの個人レッスン
午前はキィコーチとの個人レッスン

合宿所での一日は、午前中はキィコーチの個人レッスンを受け、午後は様々な選手と実戦形式での練習というスケジュール。個人レッスンについて「レベル別で色々なメニューがありますが、僕はまだ基礎的なことだけです」と言う笹島選手。精確な「突き」の練習を何度も繰り返した後、キィコーチからのアドバイスに熱心に耳を傾けていた。現役時代にはパラリンピックで三つの金メダルを獲得したキィコーチ。彼の一流の技術を一つでも多く吸収し試合で発揮できるようになれば、国際大会でも十分通用するような選手となれるに違いない。

 

510日から16日に開催されたワールドカップの舞台となったオランダに「行くのはもちろん初めて」という笹島選手。今大会はフルーレのみのエントリー。「まずは予選通過」を目標に掲げ、世界の強豪たちへ挑んだ。しかし、結果は予選プール全敗で32位中30位。ほろ苦いデビュー戦となってしまった。だが、重要なのはそこから次につながる何を得たかであろう。これからは国内だけでなく海外への移動も多くなり、時差や環境の変化への対応といった自身のコンディション調整も大きな課題となるだろう。そういった新しく見えた課題や外国人選手と戦った経験については、また次回の取材で聞きたい。

 

 

(記事・下川薫)