北区赤羽体育館オープニング記念イベント

 

1月29日、車いすフェンシングが拠点を置いている北区に、新たな体育館がオープンした。そのオープンを祝う盛大なイベントが行われ、私たち広報インターンも取材させていただいた。

 

イベント開始は午前9時30分。9時前に会場に到着した私たちを待っていたのは、真新しい体育館とイベントに参加するために列をなす大勢の人の姿だった。体育館隣の公園を埋め尽くす人に圧倒されつつ体育館へと入る。体育館の中では、準備も佳境を迎え、東京2020オリンピック・パラリンピックフラッグツアーアンバサダーとしてイベントに参加される、TOKIOの長瀬智也さんがリハーサルをする姿も見える。テレビカメラ、報道関係者も多数入り、会場は緊張感と高揚感に包まれていた。外で開始を待ちわびていた多くの人々が入場すると、まもなくイベントがスタート。小学生ほどの小さなチアリーダーたちのダンスでイベントは華々しく幕を開けた。

 

開始前の会場ではあわただしく準備が進む
開始前の会場ではあわただしく準備が進む

 

来賓席にはロンドン五輪フェンシング銀メダリストの千田健太さん、三宅諒さんをはじめとするそうそうたる顔ぶれが揃い、車いすフェンシングの代表選手である、安直樹さん、加納慎太郎さんの姿も見える。普段取材させていただくお二方の引き締まった表情を見ていると私たちの気持ちも自然と引き締まる。リオから北区に到着したフラッグを歓迎するセレモニーにTOKIOの長瀬さん、シドニー五輪車いすバスケットボール日本代表キャプテンの根木慎志さんがそれぞれオリンピックフラッグ、パラリンピックフラッグを持って登場すると大きな歓声が沸きおこった。長瀬さんと根木さんのトークショーも行われ、「応援の力」をテーマにトーク。トークショーの中で、根木さんのサポートで長瀬さんが車いすバスケットボールを体験する時間も設けられた。シュートを狙う長瀬さん。最初こそ低い位置からのシュートに戸惑う様子だったが、会場からは応援の声が飛び、シュートを成功させた。まさに応援の力を感じることになったはずだ。その後、ステージでは来賓の方それぞれがフラッグを振り、オリンピック、パラリンピックを歓迎。フラッグを振った感想として、加納さんは「身が引き締まる思いだった」とおっしゃっていた。リオから運ばれたフラッグは、歴史の重みも加わり、さらに重く感じるにちがいない。

 

大勢の観客が詰めかけた
大勢の観客が詰めかけた
来賓席に座る安さん(左)と加納さん(右)
来賓席に座る安さん(左)と加納さん(右)

 

車いすフェンシングが参加するイベントの一つ、エキシビションが始まった。安さん、加納さん自ら観客にルールや掛け声、難しさを教える。試合が始まると、観客席は意外な激しさに驚き、声を上げる。車いすは固定されているので、常に相手と間近で向かい合わざるを得ない。だからこそ、上半身を大きく動かし、攻撃や守りをするプレーは激しいものとなる。安さんは、もともと車いすバスケットボールの選手で、車いすフェンシングは車いすを動かさないからこそ、年をとっても続けられる競技だと考え転向を決めたそうだ。車いすが固定されているという点は、選手にとっても魅力的なのかもしれない。加納さんは、「(車いすフェンシングは)野球やバスケに比べてマイナーなので、知ってもらえる機会になった」と話してくださり、エキシビションに手ごたえを感じていたようだ。さて、フェンシングにおける応援はどのようなものだろうか。フェンシングの応援は、大声で選手を鼓舞するというよりはむしろ固唾をのんで勝負の行方を見守るスタイルのように思う。個人的な意見ではあるが、勝負が決まったときに音が鳴るので声を出していると結果がわかりにくくなってしまうのではないか、また一瞬の隙が原因で勝負が決まってしまうので静かな雰囲気の方が試合をしやすいのではないかと感じるため、静かに試合を見守りたい。車いすフェンシングを見ていると、声を出すことだけが応援ではないことを実感する。

 

エキシビションでも試合は真剣そのもの
エキシビションでも試合は真剣そのもの

 

エキシビションの後、準備体操を挟んで車いすフェンシング、ダブルダッチなどの体験教室が開かれた。車いすフェンシングのブースにも多くの体験者が詰めかけ、加納さんを相手に体験をする。車いすフェンシングのブースには、盛り上げ役としてお笑い芸人のセブンbyセブンさんが来てくださり、場を盛り上げてくれた。ベイマックスに扮した玉城泰拙さんが加納さん相手に体験をはじめ、必死に攻撃するも全く当たらない。そこで加納さんが玉城さんの隙をつき攻撃すると、「攻撃しない約束だったじゃないですか!!」と怒りつつも、プロ選手の強さを間近で感じることができた体験となったようだった。多くの人に体験してもらうことで、車いすフェンシングを知る人、応援してくれる人が増えることを期待しながら、私たちは会場を後にした。

 

加納さんVSベイマックスの試合も実現!
加納さんVSベイマックスの試合も実現!

 

思い返してみても、このイベントで応援する機会が多くあったかもしれない。外で開場を待つ大勢の方々に対して「寒いけれどあと少し頑張ってください」、ちびっこチアリーダーたちに「緊張するかもしれないけど頑張って踊ってね」、車いすバスケットボールでシュートを狙う長瀬さんに「難しそうだけど長瀬さんなら成功しそう。頑張ってください」、エキシビションをしている安さん、加納さんに、「いつも応援しています、頑張ってください」・・・きっと私たちは日々スポーツに限らずいろいろな応援をしているはずだ。声に出す応援もあれば心の中でこっそりとする応援もある。しかし、応援することで頑張っている人を身近に感じることができ、また頑張る人は応援から力をもらうかもしれない。応援は人と人とをつなぐものだと思う。つながり大きくなれば、きっとみんなが一つになって大きな力を生み出すだろう。そのつながりの中で、車いすフェンシングもさらに活躍の場を広げていくはずだ。新しい体育館はスポーツの力、応援の力で多くの人がつながる場所となるにちがいない。

 

 

 

(記事・慶應スポーツ新聞会 清野日奈子)